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【コエレクが目指す】音声入力によるカルテ作成が変える、救急現場の医療DX

2025/05/25(Sun)

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〜医療の記録業務を効率化する、実用レベルの音声入力(Voice User Interface)〜

近年、「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進が加速する中で、音声入力を活用したカルテ作成のニーズが高まっています。特に救急医療の現場では、迅速な対応と正確な記録が求められる一方で、電子カルテ(EMR)入力にかかる時間的・心理的負担が問題視されています。

Wonder Drill株式会社は、この課題に対して、自然に話しかけるだけの、音声入力とAIによるカルテ構造化技術を用いたソリューション「コエレク」を開発し、現場の記録業務を根本から見直す取り組みを進めています。

電子カルテ入力が抱える根本的課題と限界

医療DXの要ともいえる電子カルテは、利便性とデータ一元管理、セキュリティの強化という観点で進化してきましたが、実際の運用現場においては次のような課題が依然として存在します:

  • 入力作業に時間がかかり、患者対応の質が損なわれる
  • 医師・看護師が診察終了後に大量の入力作業を抱える
  • UIの複雑化により、教えてもらわないと入力できない
  • 記録漏れ・転記ミスなど、ヒューマンエラーのリスク

これらは特に、救急外来や訪問診療、在宅医療などリアルタイム対応が求められる医療領域において深刻な業務負担となっており、医療従事者の離職や燃え尽きの要因ともなっています。

音声入力×AIでカルテ記載を最適化

VUI(音声ユーザーインターフェース)の医療現場への導入意義

音声入力は、単なる利便性向上のツールではありません。
医療現場、とりわけ救急領域においては“業務インフラ”の一部として機能する可能性を秘めています。

  • 手がふさがっていても記録可能
  • 入力速度がタイピングより圧倒的に早い
  • 患者対応と記録を同時並行で進められる
  • 操作に不慣れな医師・看護師でも導入しやすい

このように、音声入力は「即応性」「同時性」「負担軽減性」に優れるUIであり、医療DXの実装においてきわめて高い親和性を持っています。

「コエレク」:救急医療のための音声入力カルテ補助システム

Wonder Drill株式会社が開発した「コエレク」は、音声入力による医療記録を構造的かつ実務レベルで活用できる形に整形するVUI型カルテ生成支援ツールです。

特徴1:音声入力だけで構造化カルテを自動生成

医師・看護師が自然な話し言葉で話すだけで、AIがその内容を自動的に以下のような形式で分類・整形します、あえて「改行」「点」など音声入力専用の喋りは必要ありません。

自動で、以下のように分類されます。

  • 【現病歴】
  • 【バイタルサイン】
  • 【検査結果】
  • 【搬送後経過】
  • 【診断・治療方針】

これにより、従来の“書きながら考える”医療記録から、“話しながら記録が生成される”業務フローへ移行が可能です。

特徴2:医療用語に特化した誤変換防止設計

一般的な音声入力ツールは、医療特有の用語・略語・症状表現に弱く、誤認識のリスクがありました。
コエレクでは、高精度音声認識モデル(Whisper)と、医療特化型の自然言語処理プロンプト(KoEReq構造)を組み合わせ、医療現場の文脈を理解したテキスト変換を実現しています。

特徴3:救急医療に特化した出力形式と転送手段

生成されたカルテ文書は、QRコードまたはコピー形式で病院のEHRに即時転送可能。
救急車内・診察室・ICU等、ネット接続が限定的な場面でも運用できる軽量構成であり、現場導入の即応性と汎用性を両立しています。

特徴4:誰もが初めてでも使える画面

すぐに使える、迷うことのない画面構成で、記録のストレス、教育のストレスを軽減します。初回利用時にも直感的に操作が可能なインターフェース設計を採用しており、余計なボタンや階層メニューを排したシンプルな画面設計によって、マニュアルを読むことなく操作を開始できます。UI上の選択肢も最小限に絞り、誤操作を防ぎながら正確な記録へ自然に導く導線を構築しています。

実績とインパクト:音声入力カルテによる時間短縮と業務改善

実際に救急現場において「コエレク」を試験導入した医療機関では、以下のような効果が確認されています

  • カルテ記載に要する時間を最大80%短縮
  • 入力ミス・転記漏れのヒューマンエラー削減
  • 記録時間短縮による患者対応時間の確保

特に夜間・休日の搬送患者対応時には、迅速な記録と共有が必要不可欠であり、音声入力カルテの導入によってトリアージや診療判断のスピードそのものが向上したとのフィードバックが寄せられています。

医療DX推進における音声入力の今後の展望

音声入力は、医療DXの一部に過ぎません。しかし、医療現場での“まず最初の一歩”に最も適したインターフェースであることは間違いありません。

今後、音声入力カルテを中心とした医療DXの展開は、次のようなステップを想定しています:

  • 現場の省力化:カルテ入力の自動化による時間削減とストレス軽減
  • ナレッジ化:音声データから臨床知識・判断パターンの抽出と蓄積
  • 経営支援:記録の定量化・可視化によるマネジメント指標の強化

さらに、以下のような横展開も期待されます:

  • 多言語対応による外国人患者の受診支援
  • 音声記録のビッグデータ解析による病院経営指標の最適化
  • 医療者以外(ホテル・ツアーガイド・薬局など)での医療問診支援

このように、音声入力を起点とした医療データの流通最適化は、医療DXの本丸としてますます注目されていくことになるでしょう。

結びに

医療の現場を効率化するには、現場を知り、現場の声を反映した仕組みが必要です。
私たちWonder Drill株式会社は、救急医療や一次対応の最前線で生まれるニーズを元に、現場に根ざした音声入力型カルテ支援ツール「コエレク」を開発しました。

「話すだけで正確な記録が残る」――その当たり前を医療の標準にするために、今後も医療従事者の皆様とともに、実用的な医療DXを推進してまいります。

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