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医療現場とともに進化する音声入力AI──コエレク開発の歩み

2025/05/16(Fri)

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現場から生まれたアプリケーション

救急医療の最前線に立ち続ける中で、私たちは日々、時間との闘いの中にいます。診察、治療、判断、そしてそのすべてを記録に残す作業。こうした現場の実態を深く理解する医師として、私は業務の効率化に強い課題意識を抱いてきました。

その中で、音声入力を活用した記録支援の可能性に着目し、現場で本当に役立つソリューションを自らの手で開発することに踏み切りました。それが、AI音声入力アプリ「コエレク」です。


課題意識から始まった開発

医療現場では、記録作業にかかる負担が日々積み重なっています。これまでも音声入力の技術はありましたが、医療の現場でそのまま使える形に落とし込まれているものは、ほとんど見かけませんでした。

  • 医療用語の聞き取り精度が不十分
  • 話し言葉からカルテ形式への変換が不自然
  • 使い方が複雑で、そもそも使い方がわからない

こうした課題を踏まえ、開発段階から現場での実用性を重視し、実際に自らの勤務の中でテストと改善を重ねながら、医師自らがAIと共に、開発しました。


コエレクの特長と設計思想

「誰でも、すぐに使える」

この一言を設計の中心に据え、以下の点にこだわりました:

  • ボタン一つで録音開始、話すだけで記録完了
  • 医療文脈を理解し、セクション分けや表現の最適化を自動で実行
  • 現病歴、既往歴、バイタルサインなどの構造を保持
  • シンプルなUIで、説明書がなくても直感的に使える

開発者自身が医師であることの強みは、「現場で本当に必要とされていること」をブレずに捉え続けられることでした。


導入現場での変化

すでに複数の医療機関で導入が進んでおり、以下のような変化が報告されています:

  • 記録にかかる時間の大幅な短縮
  • 診療の合間にもスムーズに情報入力が可能に
  • 複数スタッフ間での情報共有がより円滑に

特に、音声入力によって「記録のために思考を割く時間」が減少し、本来向き合うべき診療に集中できる時間が増えたという声が多く聞かれます。


医療DXを支える視点として

医療現場でのDXは、単なるシステム導入ではなく、「働き方そのものの見直し」と直結しています。

私たちは、「医療者の時間を取り戻し、患者との時間を生成する」をミッションに、現場に根ざしたプロダクト開発を続けています。

これからも、医療従事者一人ひとりが無理なく取り入れられる仕組みを通して、現場の生産性とケアの質の両立を支援していきます。


最後に

現場の中から見えてきた課題に対して、自ら手を動かして解決策をかたちにする──それが、私たちの取り組みの原点です。

医療従事者の皆様が少しでも日々の業務を楽にし、より本質的なケアに向き合える時間を確保できるよう、今後も実用的かつ進化し続けるツールを提供してまいります。

ぜひ一度、コエレクをご体験ください。

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